11月3日 晴れ、あつい
泣いては恋人を困らせた。恋人は近くの書店を調べはじめた。書店に連れていってくれた。わたしはかなしいとき本を買う。『うれしい近況』を買った。うれしくなった。たくさん泣いて決めた。カラオケ屋のバイトをやめることにした。誰かのために心を壊す必要はないなと思った。大学もバイトもやめて身体が軽くなった。軽くなった身体でまた歩いていこう。
岡野大嗣『うれしい近況』のなかにこのような歌があった。
パフェ越しにぜんぜん写ってくれていい またいつかゆっくり来ましょうね
とてもよい、と思って恋人に送る。わたしと恋人はよくパフェを食べる。向かい合わせで座る。パフェは縦に長い。写真を撮ろうとすると、相手の身体の一部が写ってしまう。ふたりの思い出としてはいいのだけれど、SNSにあげる写真には似つかわしくない。ふたりでパフェの撮影をがんばるときのことを想った。
11月4日 くもり
動作がおかしかったVS Codeをなおす。HTMLやCSSをさわる。たのしい。ちいさく、ちいさくがんばっていこうと思う。
11月5日 晴れ
京都でお好み焼きを食べた。パイナップル酎ハイを頼む。ジョッキを持って飲む姿が格好いいと言われたので調子に乗って、するすると飲み、酔っ払う。けらけらと笑う。わたしは酔うととても笑う。
寺町通を歩いているとき電話が鳴った。求人に応募した書店からだった。アルバイト枠は埋まったので契約社員で働くのはどうですか、と言われる。覚束ない電話。面接をする場合はまた連絡いたします、と切られたが、これはもうだめなパターンだ、と思う。酔いが一気に覚める。大学もバイトもやめた、ふらふらしている自分がいやになる。恋人に「も〜、またはじまった」と笑われ、「泣いたらだめだよ、えへへとしときなさい」と言われた。え、へへ。
