3/11 晴れのちくもり
どこか遠くに逃げたいと思いながら出勤
14:30 放送が鳴る。
14:46 黙祷。電話をしているひとの声が響く。外線だったのだろうか。
母の誕生日なので、ケーキを買ってかえった。
3/12 雨
仕事が終わったら出かける予定があり、ワンピースを着ていった。先輩たちに「かわいいね」と言われた。お礼を言った。夜、お出かけなんです、と言いたかった。言えなかった。そのくらい言ってもいい間柄なのに、わたしはこころを閉ざして、じぶんのことを話さない。言えなかったことをこころのなかで並べている。コレクションじゃないのだから、と落ちこむ。
恋人の何気ないひとことがこころにひっかかって、帰りの電車で泣いた。帰ってから電話をかける。なんでそのときに言わなかったの、と言われる。言えなかった。言ってもいいのかわからなかった。ささいなことで泣いてばかりだ。じぶんのこころのことがよくわからない。
3/13 くもり
ずっとかなしかった。泣くか泣かないかのぎりぎりの状態にあった。昼過ぎに頓服を飲んだ。夜にはとうとう泣いた。
3/14 うすぐもり
十五時ごろ、大量の書類がやってくる。オリコン、十三箱分。台車に載せて運ぶ。書庫は三階。エレベーターには点検中と貼られていた。点検は十六時前に終わるという。なんと!/だめだね/一旦帰りましょう 帰って、どうしましょう、と悩んでいたら、上司が「バケツリレーで運ぶ、とか?」と言った。みんなで苦笑しながら、カゴを持っていく。オリコンからカゴに書類をうつす。バケツリレーはしなかったけれど、みんなでよいしょと階段をのぼりおりした。たのしかった。
毎日は似ているけれど、ちがう。
3/15 晴れ
春がきた。においが春だ。春はじぶんのまわりにいるひとが足りないような心地がする。なんだろう、隙間があるような感じ。光が多く入るような感じ。
3/16 晴れ、あつい
しゃぶ葉の予約を忘れていた。今朝、半分眠りながらLINEをしていたので、記憶になかった。あちゃー。恋人は怒らなかった。待っている間、ワッツに行ったり、Switchで遊んだりした。怒らないんだ、と思った。当たり前のやさしさに困惑する。
ねこちゃんは忙しなく働いていた。厨房に帰るとき、心なしか、はやく進んでいるように見える。まるで、いそがしいにゃー、と言っているかのよう。
3/17 くもり時々雨
昼は中華。円卓の席に通される。まゆみさんに「ももちゃんって呼んでもいい?」と聞かれる。「ぜひ!」と答えた。わたしは産まれる前から「ももちゃん」と呼ばれているから、そう呼ばれるのがとてもうれしい。わたしはエビチリを、まゆみさんは五目あんかけを、恋人は白米を頼み、エビチリと五目あんかけをすこしずつもらっていた。まゆみさんがテーブルを回して、「こうしたら取れるのよー」と酢を取っていたのがかわいかった。
かばんを開けたらいちごの香りがする。いちごをいただいた。かわいいマグカップもいただいた。新しい家で使ってね、と。こんなにも歓迎されていることがうれしくて、信じられなくて、胸がいっぱいだった。
恋人の家からじぶんの家に帰るのは今日で最後だ。もうすぐ新しい生活がはじまる。