1/29
起きたらさみしかった。荷物を片付ける。洗濯をまわす。セブンイレブンでパンとコーヒーを買う。漫画を読む。からだを日常に戻していく。
1/30
朝食にオールドファッションカラメルカスタードを食べる。重かった。婦人科に行こうと思っていたが、明日に延期した。
先週の日記を仕上げる。旅行中に日記をつける余裕がない。写真やGoogleマップを確認しながら書く。記録に残っていることをわざわざ文章にする必要はないような気がした。文章に残すものと残さないものって何がちがうのだろう。
蟹の親子『脳のお休み』を読み終える。やみつきになる。きっとまた読むだろう。新しく出る日記集も予約した。
1/31 くもりのち雨
午前中に婦人科へ。内診をしたのでいつもより高い。
十八時から友人と飲んだ。はじめは駅に新しくできた餃子酒場へ。
頼んだもの レモンサワー(わたし)、ハイボール(友人)、餃子六個、枝豆、蒸し鶏のサラダ、うずらの味玉
やかましい店だった。注文したものを大声で唱えられる。出勤してきたら客に対しても「本日もよろしくお願いします」と言う。ゆっくり飲めやしない。一杯飲んで、鳥貴族に移った。
たんと話した。中学校のころのこと、むかしの彼氏のこと、高校のころのいざこざのこと、サークルのこと、気になっているひとのこと、恋人のこと、カラオケ屋のバイトのこと、兄妹・姉妹のこと、親のこと、旅行のこと。久しぶりにむかしの彼氏の名前を口にした。はて、ほんとうに存在していたのかしら、と思った。
わたしは文章を書いていて、友人は演劇や舞踊をやっている。芸術をするたのしさやくるしさを語った。自分のことを話すのは気恥ずかしかったが、真面目に聞いてくれるので、調子に乗って話した。
気づいたら二十三時だった。家は目と鼻の先にあり、帰り道でも話す。霧雨だった。
頼んだもの みかんのお酒、ミックスジュース、はちみつレモン(わたし)、知多ハイボール、いちごミルク、ホットジンジャー(友人)、貴族焼(もも・たれ)、つくねチーズ、ハート、山芋の鉄板焼き
2/1 くもり
新しいアルバイトがはじまった。外向的なひとに打ちのめされた。自分が悪いことをしている気分になった。
2/2 くもり
母が朝食に食パンをフライパンで焼いてくれた。フライパンパンすき。
父が危篤だと知らせが入った。明日、面会に行く。なかなか寝つけなかった。
2/3 くもり
十三時、面会へ。父はいちばん端の部屋にいた。髪は薄くなり、顔は黄色かった。髭はすこし生えている。知っている父の姿ではなかった。しかし、眠っているとき、目がすこし開いているのは変わっていなかった。「パパ、来たよ」と声をかける。袋からノンアルコールビールを出して机に置いた。大人になったらビールを買ってあげる。こどものころに約束した。約束したときのことは覚えていない。父がいつもうれしそうにその話をしていたから記憶に残っている。
話したいことがたくさんあった。けれども、十分ほどで病室を出た。ここに居続けるのはくるしかった。実感がなくて、父ではない誰かに話しかけている心地がした。
梅田のPRONTOで遅めの昼食をとる。ホットコーヒーとブリュレバウムを頼んだ。
上の妹といつもと同じように遊んだ。ドンキ、三番街、紀伊國屋に行った。
母が下の妹に事情を話す。今日、吹奏楽のコンクールがあり、動揺させないために黙っていた。妹は声をあげて泣いた。抱きしめてわたしも泣いた。明日、叔母と一緒に面会に行くこととなった。
夕食は恵方巻。下の妹が「鮭と昆布のおにぎりを頼んだのに、昆布と昆布やったで」と言う。コンクールに持っていった昼食の話である。母が「え! 鮭フレークの蓋を開けた記憶はあるのに!」と言った。皆で笑った。笑いがとまらなかった。
2/4 晴れ
京橋集合。ミスドのドーナツビュッフェへ。千八百円。一時間。
恋人はポン・デ・リング攻め。わたしは値段の高いマフィンやパイを選ぶ。重たかった。ふたりとも元を取れた。恋人は計算しながら食べていた。わたしは後日計算した。九時開店の店に十時に入店した。まだ商品は出揃っていなかったが、空いていた。
以前使っていたiPhoneが思っていたよりも高く売れた。SIMロックを解除するのに手古摺った。
T・ジョイ梅田で『大室家』を観る。コラボドリンクを買うとコースターがもらえる。付き添いのわたしも頼む。「さっきiPhoneが高く売れたからやろ、ちょろ」と言われる。そのとおりである。
久しぶりにジャンカラへ。懐メロをいれる。アニメを観ていないのに「プリキュア5、スマイルgo go!」をフルで歌える恋人がちょっときもい。
ゲームセンターを出たら涙が出てきた。親の死期が迫っていて、平気でいられるわけがない。家に荷物を取りに帰り、滋賀へ。いま自分がいちばん安心する選択をした。
やきとり大吉へ。カシスソーダを飲んだ。夜ごはんを食べられるだろうか、と話していたが杞憂だった。店のひとが「今日はつくねに焼き目がつきにくいな」と言った。焼いているのを見ていたら、「空いてるお皿、お下げしましょうか」と言われた。お酒を飲んで朗らかになる。